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TechnoProducer ビジネスに「効く」知財 Vol.154

TechnoProducer ビジネスに「効く」知財 Vol.154
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■■    TechnoProducer ビジネスに「効く」知財 Vol.154


配信数:約6800 配信実績:2008年8月19日より隔週発行
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■7月以降の関連イベント

●今回のトピック
・「 国際標準化と事業戦略」(小川紘一著)を読む(19)


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●今週の一冊
「ビジネスマンのための『発見力』養成講座」小宮 一慶

前回に引き続き 小宮 氏の本となりますが、本書は、入社2-3年目の方を
目安に、お読みいただきたい本です。経験的に、

「言われたことをやる」「言われてからやる」

を卒業して、

「先取りし、自分で提案し、結果を出す」

ことが”そろそろ”求められる層、と言い換えてもよいでしょう。

ここで必要になるのが、「発見力」です。


では、発見とは何か。

「見えてなかったものが、見えること」

です。正確には、

「他の人には見えていないが、自分には見えた」

になるでしょうか。単に「他の人に見えていたものが、自分に見えていなかった」
だけなら、その発見は単なる「自己満足」です。


見ているが「見えていない」。これは、人間の認知機能の限界です。

①関心を持つ
②仮説を持つ

ことで、見えるようになります。


具体的には、

①関心を持つ
 切り口を持ち、分解して絞って見る。「黒い服」の女性に注目する、等

②仮説を持つ
 仮説を基に、目の前の物事について「判断」していく。YESかNOか、等

と、されています。


なぜだろうか、本当にそうか、など、常に口ずさみながら「見る」と
よいかもしれません。

他、前提を疑う、疑問を持った理由を探す、全体を見通せる一点を探す、
などの手法が紹介されています。

これらの考え方の一部は、「Critical Thinking」と呼ばれます。


あと「思想をもった人間のみを抜擢する」と書かれています。これは、
下名の経験的にも「なるほど」という感じがします。

「思想」=「普遍性のある判断基準」

と言い換え、定義すると、わかりやすいでしょうか。


このように、常に言葉を定義し、概念を明確化していくことも、一つの
テクニックかもしれません。

「なんとなく分かったつもり」

にしている時とは、異なる景色が見えてきます。


「その言葉、自分は本当に分かっているのか」

でしょうか。



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<途中割愛>


★★「国際標準化と事業戦略」(小川紘一 著)を読む(19)

前回(18)では、デジカメの事例を基に、

「デジタルカメラ自体は、広く素早く普及させたいが、その市場は、自分たちで独占し、
圧倒的な収益を上げたい」

という経営上の「相反する」要求に対して、デジタルカメラ業界が出した一つの答えが、

「普及のための標準化」と「差別化技術のブラックボックス化」

であったことを学んだ。


また、携帯電話用カメラモジュールとの比較から、同じような技術であっても、

「自社が、どういう技術を持っているのか、調達できるのか」
「業界構造は、どうなっているのか、どのようになると考えるのか」

などにより、「標準化」を仕掛ける部分も異なってくる、ことも学んだ。


・「国際標準化と事業戦略」(小川紘一 著)を読む(18)
              ~TechnoProducer ビジネスに「効く」知財 Vol.152
 http://technoproducer.blog84.fc2.com/blog-entry-165.html


今回は、P223以降で取り上げられている、三菱化学の「記録型DVD用AZO色素」の事例を
見ていきたい。

「あんなに難しい技術を、日本以外の国が作れるはずがない」P224

と言われた記録型DVDメディアであったが、結局はCD-Rと同様に、台湾、インド、
中東の企業が参入するにつれ、価格下落→日本企業のシェア低下→撤退となっている
(P225、図9.1)。この厳しい戦いを勝ち抜いたのが、三菱化学である(P231、図9.5)


本事例は、以前に一度、経済産業省の資料を基に、簡単に取り上げている。

・「国際標準化と事業戦略」(小川紘一 著)を読む(8)
              ~TechnoProducer ビジネスに「効く」知財 Vol.131
 http://bit.ly/1a8yEMH

これを踏まえて、新しい読者の方はもちろん、以前からの読者の方にも有意義な議論と
なるように、少し視点を変えて、本事例を読み進めたい。


知的財産戦略にせよ、標準化にせよ、目的はズバリ「出来るだけ高い収益が上がるように
すること」である。全ての活動を、常に「経営目標と結び付けて」議論し、理解しておく
ことが、極めて重要である。

この「収益」が上がる仕組みは、よく、ビジネスモデル(以下BM)と呼ばれる。

では、今回の三菱化学のDVD用色素に関する「知財」「標準化」戦略の背景にある「BM=
収益が上がる仕組み」は、どのようになっているのか、少し考えてみる。


ある製品から生み出される収益は、どのようにして決まるのか。いろいろな説明方法が
考えられるが、仮に以下のように「因数分解」してみると、どうか。

「ある製品により生み出される収益 = 製品一つ当たりの利益 x 販売数量」

至極単純であり、「利益の出る商品」を「数多く売れ」ばよい、となる。


少し堅苦しく言い換えると、「高い利益率を維持し」て、「売上高を伸ばす」。

堅苦しすぎました。


では、この2つの説明の「あいだ」を、取って

「利益率の高い商品」を「数多く売る」こと

にしましょう。


今回の「記録型DVD用AZO色素」の例では、

「普及するもの = DVDプレーヤー or DVDドライブ(ライトストラテジー)」

にすり合わせられた、「他者にはつくれない」自社の独自製品

「収益源 = AZO色素+スタンパー」

が、「勝手に売れていく」ことで、「利益率の高い商品」を「数多く売る」が実現
している。



重要なことは、「数多く売る」ための仕組みと、「利益率を高くする」仕組みが、
それぞれ別の部分に組み込まれていること。


くどいかもしれませんが、とても重要なことですので、もう少しだけ、詳しく見たい。

三菱化学のDVDに関する知財・標準化戦略の本質は、P229の図9.3に示されている。
繰り返しになるが、この図で強調されているのも

「利益の源泉を守る」+「普及を早める(大量普及)」

の2重構造である。本事例の場合、利益の源泉を守るのは、三菱化学が特許を保有
する「AZO色素」であり、AZO色素の塗布に最適設計された「精密原盤(スタンパ)」
である。


たとえば、三菱化学のDVDスタンパに関する特許には、

「追記型DVDの溝深さを、内周から外周に向かって深く・・・(中略)・・・する
ことで、色素の溶液をスピンコートする際の、膜厚の均一性を実現する」

とする技術思想が、開示されている。しかし、設計上の細かいパラメーターは、
秘匿されている。

このように、利益の源泉は「特許」と「ノウハウの社内管理」で保護されている。


重要なことは、「記録型DVD」すべてに関して特許やノウハウで保護するためには、
多くの特許取得をはじめとした、大きな投資を必要とするが、色素とスタンパに
限れば、必要な投資も限定される、ということ。三菱化学の独自性はそのAZO色素に
あるわけなので、

「圧倒的な強み」

にフォーカスすることで、「特許という投資に対する収益」が最大化される。


弊社が提唱する知財戦略の「第一の鉄則」は、「ROI(投資対収益率)」を高める、
である。

これは、「知財権を有効に活用することで、技術投資に対する収益を高める」という
考え方であるが、同じロジックで、「知財権への投資の、収益への貢献度を高める」
ように事業戦略を立てる必要がある、と考えている。


三菱化学は、AZO色素とスタンパに注力し「ここさえ守れば、圧倒的な収益率が維持
できる」部分を作った。もともと技術的にも強く、ノウハウもあり、更に特許も固めて
いる。「利益率を高める」部分として、最適である。


上記のような鉄則と、ビジネスモデルに関する基本的な理解を踏まえれば、本書で
取り上げられているさまざまなケースも、より理解しやすい。


弊社では、勉強会や発明塾、弊社講師が担当している各大学の講義で、本書のさまざまな
ケースについて、日々議論を積み重ねている。

それらが、弊社の「他を寄せ付けない圧倒的な」教育力の源泉になっている。


次回も、紙上討議という形で、引き続き「三菱化学のDVD色素」に関する、知財・標準化
戦略の理解を深めていきたい。



※注1)図、ページ数等は、第2刷に基づきます。

※注2)本連載は、弊社独自の解釈によるものです。

※注3)本稿は、弊社が主催する「国際標準化と事業戦略研究会」の研究成果に基づくものです。
無断転載、引用を禁止します。研究会では、本書には取り上げられていない様々な業界の、
知財戦略/標準化戦略を駆使した事業戦略はどうあるべきか、今後も事例研究を進め、学会等で
発表する予定です。




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弊社の教育プログラムから、戦略的知財活動を支える、「知財のわかる」技術者が続々と誕生し、
現場で活躍しています。


「実績豊富な講師陣」と「作りこまれた教材」で、御社の知財活動の推進をサポートします!

「講師の紹介」は、こちら → http://bit.ly/1hGJJFB 
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その他、各種ご相談、教育カリキュラム、教育内容、教材に関するお問い合わせも、
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「人生とは、毎日毎時間の連続である。今日を捕まえよう、現実から逃げるな」
‐D.カーネギー

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TechnoProducer ビジネスに「効く」知財 Vol.153

TechnoProducer ビジネスに「効く」知財 Vol.153
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■6月以降の関連イベント

●今回のトピック
・「知的財産戦略」(丸島儀一 著)を読む(19)


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●今週の一冊
「ビジネスマンのための『数字力』養成講座」小宮一慶

今回は、そろそろ「会社」にも慣れてきたかなーという、新入社員の方向けの
書籍です。

毎日のニュースや企業活動は、数字に溢れています。
それぞれを、どう「繋げて」見るか、頭のトレーニングをぜひ、今のうちに
行っておいていただきたいですね。

毎日見ている数字が、より生き生きしたものとして、感じられるようになります。
世の中も、会社の仕組みも見えてきますし、仕事も楽しくなります。


下名の経験上、「数字力」には、以下の「3つの効果」があります。

・数字で具体的に考えることが、発想につながる
・説得力が増す
・ベースとなる数字を頭に入れておくと、「仕事の瞬発力」が違う

アイデアが出て、結果がすぐに出て、しかも説得力も出る。

いいことばかりです。


「イマイチ話が漠然としてしまう」
「考えが具体的に進まない」

という方は、数字にして「計算」するようにすると、イメージがより
具体的になって、考えがどんどん進みます。


数字にもコツがあって、スズキ自動車の鈴木会長が、

「”XX %”工数削減ではなく、”XX 人”作業員を減らす」

と考えると、具体的なアイデアが出る、とおっしゃっていました。「%」の
ような「曖昧な数字」ではなく「XX 円」「XX 人」のような「具体的な数字」
で考えることが、とても重要です。下名は「一次情報の数字で考える」と
呼んでいます。「%」は、計算しないと出てきませんから、二次の情報です。

まさに「数字力」です。


「イマイチ話に説得力がない」「よい発想が浮かばない」と、「仕事の壁」を
感じ、「乗り越えたい」と悪戦苦闘しておられる若手の方も、ぜひ。



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/////////6月以降の知財セミナー情報///////////////


★(広島)弊社講師セミナー(広島県発明協会と共催)

・7月24日「実験結果から特許となる”発明”を抽出するスキル」(秋好)

弊社オリジナルの「アイデアシート」を作成いただきながら、発明の本質を捉え、
発明提案書に表現するスキルを身に付けて頂きます。

詳細は、以下参照ください
http://bit.ly/1pDDU50



★ (東京)早稲田大学知的財産法制研究所[RCLIP]主催セミナー
「国際的知的財産紛争の効率的な処理と知的財産専門裁判所の果たすべき役割」

第2部で「中国における知的財産専門裁判所の設立と知的財産訴訟の現状」について
講演があります

・日 時 : 6月28日(土) 13:30~18:15
・会 場 : 早稲田大学早稲田キャンパス8号館B102教室
       http://www.waseda.jp/jp/campus/waseda.html

詳細は、以下参照ください
http://bit.ly/1q6Kb6X


★(大阪)平成26年度 弁理士の日 記念講演会
「3Dプリンタ技術の新潮流~温故知新で知財とともに次世代ビジネスに挑む~」

日本弁理士会近畿支部主催の講演会です。
弊社主催セミナーでも度々ご講演頂いております、菅田先生も、講演されます。

・日 時 : 6月28日(土) 13:00~16:30(開場 12:00)
・会 場 : 松下IMPホール(大阪市中央区城見1丁目3ー7)

詳細は、以下参照ください
http://bit.ly/1gW9J6f


★(東京)AIPPI・JAPANセミナー
「特許実務に変化を及ぼす最新の米国最高裁判決の解説」

特に注目すべき米国最高裁判決を3件取り上げ、それらの事件、判決が特許実務に
どのような変化をもたらすのか、解説があります。
また、法律の説明や分析に加え、特許実務者が堅固な知財の獲得に向け実務面を
どう強化すべきか、判決の実践的な応用についても、解説があります。

・日 時 : 7月1日(火)13:30~17:00
・会 場 : 全日通霞ヶ関ビルディング8階 大会議室
      (東京都千代田区霞ヶ関3-3-3)
       http://www.neu.or.jp/html/map/

詳細は、以下参照ください
http://bit.ly/1pDD0W7




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★★「知的財産戦略」(丸島儀一 著)を読む(19)

前回(18)では、「アライアンスにおける知財の取り扱い」について、

(1)「共有」は、必ずしも「平等」を意味しない
(2)国によって「特許の共有」の意味は、大きく異なる

ことから、「事業を見据え」て、特許と契約、双方を上手く組み合わせて考える必要が
あることを、「プリンタ・メーカーとモーター・メーカー」の事例から、学んだ。

・「知的財産戦略」(丸島儀一 著)を読む(18)~TechnoProducer ビジネスに「効く」知財 Vol.151
 http://technoproducer.blog84.fc2.com/blog-entry-163.html

今回は、前回に引き続き、具体的に「特許と契約」を、どのようにすればよいか考えてみたい。


再度整理しておくと、以下の問題に答えを出すことが、今回の「特許と契約」の目的である。

プリンター・メーカーAとモーター・メーカーBが、新しいモーターXと、それを使った
プリンターを共同で研究開発した場合、成果を「平等」に利用できるようにするには、
「特許の取得」と「契約」を、どのようにすればよいか?


これについて、現時点で想定できる問題点は、以下である。

「モータXの特許を取り、共有」とした場合、A社(プリンター・メーカー)はB社
(モーター・メーカー)とは別にモーターを調達することはできず、共有する意味がない。

「モーターX内臓のプリンターの特許を取り、共有」とした場合、B社(モーター・
メーカー)は、A社(プリンター・メーカー)以外のプリンター・メーカーにモーターを
販売することが出来ず、共有する意味がない。


さらに前提条件として、

「プリンター・メーカーAは、一定期間はBから新しいモーターの独占供給を受けたい」P95

「この一定期間が過ぎた後、互いが自由に事業を行えるようにする」P95

を、考慮しておく必要がある。


さて、この場合「どのような特許を取得」すれば、よいだろうか? 

また、「どのような契約」にすれば、よいだろうか?


本書では、一例として、次のような手法を提示している。


1)特許について
取得する特許については、以下のように、後述の契約で「切り分ける」ことを想定して
取得する。

「共同研究開発の成果の特許を取って、これを共有にする。その中でクレームを大きく
二つ取る。モーターのクレームとモーター内蔵のプリンターのクレームである」P95


2)契約について
まず、上記の二つのクレームを、それぞれが独占できるように取り決める。

「モーターのクレームを契約によって、モーター・メーカーのBが独占する。モーター
内蔵のプリンターのクレームは、これもまた契約によってプリンター・メーカーのA
の独占とする。特許は共有として登録されているが、契約によって、モーターと
プリンターを切り分けるのである」P95


しかし、このままでは、モーター・メーカーBが他社にモーターを販売した場合、

「プリンター・メーカーAから攻撃」P96

されてしまう。それを避けるため、

「プリンター・メーカーAから、Bが売ったモーターを採用した企業を攻撃しない、
という契約を取り付けておく」P96

必要がある。


また、プリンター・メーカーAとしては、

「自分の権利を行使して事業を行うには、B以外からもモーターの供給を受けたい。
・・・Zという特定の一社にモーターをつくらせる権利(ハブメイド権という)を
Bから認めてもらう。そしてZが生産したモーターの全量をAが買い取る」P96

契約とする必要がある。そうでなければ、B社に供給や価格をコントロールされて
しまうため、安心して事業が出来ず、共同開発した意味がなくなる。


ここまでの、「特許と契約」の仕掛けをして、「平等」ということになる。

「この例は、素材メーカーと部品メーカー、部品メーカーとセット・メーカー、
あるいはこれら三者における共同研究開発を考える時の例にもなる」P96

ため、ぜひ完全に理解しておきたい。

次回は、海外の拠点や研究機関との連携について、注意すべき点を取り上げる。



※注1)図、ページ数等は、第1刷に基づきます。
※注2)本連載は、弊社独自の解釈に基づくものです。





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090828

TechnoProducer ビジネスに「効く」知財 Vol.152

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TechnoProducer ビジネスに「効く」知財 Vol.151

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●今週の一冊
「未来を創るエジソン発想法」浜田 和幸

未来学者 浜田氏が、エジソンの生涯とその考え方を、日記と観察メモから
振り返る。


<考える>
・自己責任と自助努力により進歩を目指さない限り、本物の知識は育まれず、
結局は無知に陥る。
・人より、ほんの少し注意深くなる。

<記憶力>
・機能的に使える記憶力を持つことで、情報と情報に関連性が生まれ、新しい
アイデアや発想につながる。
・そして、記憶力はスピードになる。

<生み出す>
・何かを生み出すことによってのみ、世の中は進歩する。
・生産性を向上させる。
・思い悩んだり気を紛らわせたりするのではなく、創造する。


他にもエジソンは、

「”時間を節約する”ために、多くの本を読み、先行文献を徹底的に収集した」

と語っています。


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/////////5月以降の知財セミナー情報///////////////


★(大阪)(広島)弊社講師セミナー(大阪発明協会、広島発明協会と各共催)

・【広島】5月29日「技術に携わる人のための、ケースで学ぶ契約入門
                   ~共同研究でモメないための基礎知識」(橋本)

 問題を先送りにせず、関係先と良好な関係を築き、成果を出すために!

(1)こんなことでお困りではありませんか?
 ① 過去に、共同研究先と契約を巡ってトラブルになったことがある。
 ② 共同研究の際の契約を適切に締結できているか、不安を感じることがある。
 ③ 共同契約相手とある程度協議を進めた後に、法務部門から「その契約は認められない」
  と言われ、 板挟みになったことがある。

(2)「技術者向け発明力向上プログラム」は、ここがちがう!
 ① 技術者が安心して対外的な関係を構築できる、基礎的な知識をわかりやすく解説
 ② 共同研究契約をはじめとする「3つの典型的ケース」が題材
 ③ トラブルが生じやすい「危険ポイント」、明確に決めるべき「必須ポイント」に注目

(3)セミナー受講の効果
 ① 共同研究において、陥りやすいトラブルを予見、回避できるようになる!
 ② 大学や先生との関係を円滑に進め、成果を出すことに集中できる!
 ③ 研究開発における対外的なやり取りを、自信を持って推進できるようになる!


 セミナー内容詳細は、以下参照ください
 http://bit.ly/1isz2GI


・【大阪】6月18日「事業で勝つ『強い特許』の作り方
                    ~他社が嫌がる特許はこう作る!~」(橋本)

 特許情報を分析し、「先読み」を通じて、他社商品を確実に排除する手法を、事例演習で
 学びます!

(1)こんなことでお困りではありませんか?
 ① 自分の発明の「どこがポイントになるのか」が判断できない。
 ② 事業に役立つ発明を、生み出すことができない。

(2)「技術者向け発明力向上プログラム」はここがちがう!
 ① 実際の事例を基にした「演習中心」のセミナーであることから、より深く理解する
   ことができます。
 ② 演習の最後には事業で勝てる「思想」について、「特許性」のある発明を、実際に
   創出して頂きます。
 
(3)セミナー受講の効果
 ① 自分の発明の本質(課題-解決策)を把握できるようになる。
 ② どの部分を特許にすることができれば、事業で勝つ(事業に貢献する)ことができるのか?
   に対する仮説を立て、それを検証した上で、研究開発を進められるようになる。
 ③ 自分の発明と引用発明との差異を把握した上で、それを磨き『強い特許』を作る
   ことが、できるようになる。


 セミナー内容詳細は、以下参照ください
 http://bit.ly/1lAGi5D



★(東京)小川紘一先生による「オープン&クローズ戦略 ~日本企業再興の条件~」

「オープン&クローズ戦略」研究の第一人者・小川紘一先生の、長年の実証研究に基づく
成果である新著『オープン&クローズ戦略~日本企業再興の条件~』をテキストに、5日間
かけてじっくりと学ぶセミナーです。

詳細は、以下参照ください
http://bit.ly/1lra93e



★(大阪)平成26年度 弁理士の日記念講演会
「3Dプリンタ技術の新潮流~温故知新で知財とともに次世代ビジネスに挑む~」

題記、日本弁理士会近畿支部主催の講演会が、6月28日(土)に、大阪で開催されます。
弊社主催セミナーでも度々ご講演頂いております、菅田先生のご講演もございます。

・日 時 : 6月28日(土)、13:00~16:30(開場 12:00)
・会 場 : 松下IMPホール(大阪市中央区城見1丁目3ー7)

詳細は、以下参照ください
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★★「知的財産戦略」(丸島儀一 著)を読む(18)

前回(17)では、「アライアンスにおける知財の取り扱い」について、

(1)利害関係は対立するものであり、「最初は仲間」でも、「終われば敵」となると
   思って、事前の取り決めを確実に行うこと

(2)「成果の取り決め」において、焦点は「既存技術」の取り扱いであること

を、学んだ。


・「知的財産戦略」(丸島儀一 著)を読む(17)~TechnoProducer ビジネスに「効く」知財 Vol.149
 http://technoproducer.blog84.fc2.com/blog-entry-162.html


今回は、「事業展開を考慮して、成果共有の取り決めを行う」ことについて、事例で
学んでいく。


(1)「共有」は、必ずしも「平等」を意味しない
当たり前ではあるが、「共有」⇒「平等」とは限らない。契約について考えることに
慣れていないと、「共同研究」の結果は「共有するもの」、そうでなければ「不平等」と、
短絡的に考えてしまいがちだが、共有がどういう結果をもたらすか、自社の立場と共有
する内容を踏まえて、予測する必要がある。


(2)国によっても異なる「特許の共有」
たとえば日本では、何も契約を結ばなければ、共有した特許については以下のようになる(P92)。

・実施は、共有者それぞれが行える
・第3者への攻撃は、共有者それぞれが行える
・第3者へのライセンスは、共有者の相手方の承諾がなければ出せない

これは、国によっても異なるため、海外の拠点や研究所が関係する場合には、この点にも
注意が必要である。


(3)どう「共有」すれば「平等」か~「プリンタ・メーカーとモーター・メーカー」の
事例から実際に、P94-96にある「プリンター用新規モーターの共同研究開発事例」を紐解き
ながら、「平等になる契約」の落としどころについて、見てみたい。

「プリンター・メーカーAとモーター・メーカーBが、Xという新しいモーターを使った
プリンターを共同で研究開発し、モーターXの特許を取得して共有にしたとしよう」P94

一見、何の問題もないケースのように見える。

「共有であれば、それぞれ自由に実施できるので、プリンター・メーカーもモーター・
メーカーもこの特許を使って事業ができるはず」P94

その通りである。単に「共有」とした場合、何か問題が生じるのだろうか?その場合、
具体的に「誰に、どういう問題」が生じるのだろうか。


「ところが、プリンター・メーカーAはモーターをつくる能力がないので、実際には事業が
できない。Aは、第三者にライセンスしてモーターをつくらせることも、できない」P94

なぜなら、

「特許の共有者であるモーター・メーカーBは、競合の参入を招くようなライセンスを
承諾しない」P94

からである。これでは、成果を共有しても、プリンター・メーカーAには何のメリットもない。
仮に「共有だから」といって費用負担した場合には、「何のメリットもないのに、費用だけ
負担している」状態になる。


解決策として、どのような方法が考えられるだろうか。本書では、まず「特許の取り方を
変えるとどうなるか」を、検討している。「モーター」ではなく「モーター内臓プリンター」
ではどうか、ということである。

どうだろうか。

「モーターの特許ではないため、モーター・メーカーは共同研究開発したモーターを、別の
プリンター・メーカーにも売ることができ」P94

都合がよさそうである。この場合、何か別の問題が生じる可能性はないだろうか。この
モーターを「別のプリンターメーカー」が購入して組み込み、プリンターとして販売する場合、
どうなるだろうか。

「このモーターを購入したプリンター・メーカーは、特許の共有者であるAから訴えられる。
プリンター・メーカーAにしてみれば、新しく開発したモーターを内蔵したプリンターを、
競合他社から販売されれば、自社の事業が危うくなるので認めるわけにはいかない」

今度は、モーター・メーカーBが共同研究成果を利用できない。


一旦まとめよう。今回の問題は、

プリンター・メーカーAとモーター・メーカーBが、新しいモーターXと、それを使った
プリンターを共同で研究開発した場合、成果を「平等」に利用できるようにするには、
「特許の取得」と「契約」をどのようにすればよいか

と言い換えることができる。現時点では、

「モータXの特許を取り、共有」とした場合、A社(プリンター・メーカー)はB社(モーター・
メーカー)とは別にモーターを調達することはできず、共有する意味がない。

他方、

「モーターX内臓のプリンターの特許を取り、共有」とした場合、B社(モーター・メーカー)は、
A社(プリンター・メーカー)以外のプリンター・メーカーにモーターを販売することが出来ず、
共有する意味がない。


さて、特許と契約、双方を上手く組み合わせて、この問題を解決するには、具体的にどのように
すればよいだろうか。

少し考えてみて頂きたい。


続きは、(19)にて。




※注1)図、ページ数等は、第1刷に基づきます。
※注2)本連載は、弊社独自の解釈に基づくものです。




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●今回のトピック
・「国際標準化と事業戦略」(小川紘一 著)を読む(17)


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松下幸之助 氏に関連する著作は、これまでも何度か取り上げていますが、
こちらも、ぜひ読んでいただきたい本。


①現状をありのままに受け入れ(是認する)、容認せず対処する

②衆知をあつめる。ただ人を集めて意見を出すのではなく、個々の利害に
とらわれず、より善き道を見出そうとする

③自由と秩序と生成発展


「容認」ではなく、「是認」し対処する

肝に銘じたい。


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/////////5月以降の知財セミナー情報///////////////


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・【大阪】5月21日「実験結果から特許とな る「発明」を抽出するスキル」
                ~「発明把握」と「アイデアシート作成」~(秋好)

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(3)セミナー受講の効果
 ①「実験結果」から、アイディアを展開し、発明を拡大できる!
 ②「特許性のある発明要素」を正確に捉え、事業に役立つ「強い特許」を生み出す
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 ③ 公知技術との差別化が十分になされた、「発明提案書」を作成することができる
  ようになる!

 セミナー内容詳細は、以下参照ください。
 http://bit.ly/1dPoq9D


・【広島】5月29日「技術に携わる人のための、ケースで学ぶ契約入門
                   ~共同研究でモメないための基礎知識」(橋本)

 問題を先送りにせず、関係先と良好な関係を築き、成果を出すために!

(1)こんなことでお困りではありませんか?
 ① 過去に共同研究先と契約を巡ってトラブルになったことがある。
 ② 共同研究の際の契約を適切に締結できているか不安を感じることがある。
 ③ 共同契約相手とある程度協議を進めた後に、法務部門から「その契約は認められない」
  と言われ、 板挟みになったことがある。

(2)「技術者向け発明力向上プログラム」はここがちがう!
 ① 技術者が安心して対外的な関係を構築できる、基礎的な知識をわかりやすく解説
 ② 共同契約をはじめとする「3つの典型的ケース」が題材
 ③ トラブルが生じやすい「危険ポイント」、明確に決めるべき「必須ポイント」に注目

(3)セミナー受講の効果
 ① 共同研究において、陥りやすいトラブルを予見、回避できるようになる!
 ② 大学や先生との関係を円滑に進め、成果を出すことに集中できる!
 ③ 研究開発における対外的なやり取りを、自信を持って推進できるようになる!


 セミナー内容詳細は、以下参照ください
 http://bit.ly/1isz2GI



★(東京)小川紘一先生による「オープン&クローズ戦略 ~日本企業再興の条件~」

「オープン&クローズ戦略」研究の第一人者・小川紘一先生の、長年の実証研究に基づく
成果である新著『オープン&クローズ戦略~日本企業再興の条件~』をテキストに、5日間
かけてじっくりと学ぶセミナーです。

5月16日に、第一回が開催されます。

詳細は、以下参照ください
http://bit.ly/1lra93e



★(大阪)丸島儀一先生による「丸島ゼミ」、本年も開催
本年も、全6回で「丸島ゼミ」が開催されます。「キヤノンvsゼロックス」普通紙コピー機
戦争の最前線に立ち、「キヤノン特許部隊」を率いておられた丸島儀一先生に、「直接」
「じっくり」指導を受けることができる、貴重な機会です。

5月23日に、第一回が開催されます。

詳細は、以下参照ください
http://bit.ly/QO0VmO



★(東京)【技術者向け】弊社推奨セミナー「エキスパートにきく!」
弊社メンバーが参加し、「面白かった!」と感想を寄せてくれたセミナーの第3弾が、
以下の通り開催されます。


・5月16日【エキスパートにきく!】第3回「発明・技術・アイデアを事業に繋げるスキル」
http://bit.ly/1nybCaN

ベテランエンジニアの方の経験を、座談会形式で”ざっくばらん”に伺うセミナーです。
費用は2000円、時間も17:30-19:00と、いずれも手軽です。


今回の講師は、元NHK放送技術研究所 主任研究員 河合 輝男 氏 です。

ハイビジョン、デジタル放送技術の研究をはじめ、次世代単色X線診断・治療システム、
脳腫瘍等手術支援システム(HivisCAS)、超高速CCDカメラ、メガネなし3Dシステム、
遠隔医療、X線回折によるたんぱく質の構造解析システム、細胞のリアルタイム観察技術、等
多数の技術開発に、成功されています。


ちなみに、講演後の「座談会」の話題は、以下を予定されています。面白そうですね。

 ―事業につながる技術・発明・アイデアとは
 ―ビジネスモデルを描こう
 ―プロジェクトを成功させるポイント
  ~プロジェクトを自分で企画し、メンバーを集める~
 ―多くの知友を得た交流の心得


若手技術者の方、新規テーマ探索をご担当の方、ぜひ、ヒント探しに「ぶらりと」来られては
いかがでしょうか?


弊社では今後も、「実際に参加してみて良かった」セミナーについて、紹介いたします。



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★★「国際標準化と事業戦略」(小川紘一 著)を読む(17)

前回(16)では、クアルコムの事例を基に、

「”技術の特性”から決まる”市場構造=事業戦略”を、確実なものにする」

のが知財戦略の目的であり、

「先行事例と”バリューチェーン”を分析し、自社の参入する業界構造の変化を推定し、
また、自社に都合のよい業界構造を描き、その実現に必要な技術と知財を調達する」

のが、知財戦略の「立案と実行」である、

ことを学んだ。

・「国際標準化と事業戦略」(小川紘一 著)を読む(16)~TechnoProducer ビジネスに「効く」知財 Vol.148
http://bit.ly/1iMF8Xg


今回は、Qualcommの現在の戦略を分析し、「イネーブラー」を目指す企業が打つべき手について、
さらに詳しく見ていく。

Qualcommの現在の戦略は、彼らが推進している「QRD」というプログラムから、読みとれる。

「Qualcommは中国をはじめとする新興国に自社チップセットを普及させるため、QRD(クアルコム・
リファレンス・デザイン)というプログラムを始めた。Qualcommは先進国におけるスマートフォン
市場では圧倒的なシェアを誇っていたが、新興国においては、ローコストで攻めるMediaTek社に
対して苦心を強いられてきた」

そこが高付加価値であればあるほど、自社のレイヤーに対して、ローエンドのプレーヤーが参入
してくる可能性は高い。もともと、自社のレイヤーは知財で守るのが鉄則であるが、Mediatekは、
Qualcommと特許ライセンスを結ばずに事業を継続しているとされ、守りきれていないことになる。


・「MediaTekとQualcommは相互に特許ライセンスを取得せず」経済日報 2013/9/27
http://bit.ly/1gyeayn


これに対するQualcommの戦略は、MediaTekに対抗して、自社チップセットを「普及」させるための
「オープン化」である。

「そこでQualcommはチップセットと部品間のインターフェース、及び製造実装技術などを、新興国の
携帯電話開発メーカーに公開することで、自社チップセットが載った低コストな携帯電話の
早期大量普及を図っている。QRDでは、製造のためのツールだけでなく、部品リストや、試験法/
評価手順、ソフトウェアに至るまで手厚いサポート体制が取られている。これにより、新興企業で
あっても、資金さえあれば誰でも携帯電話が作れるようになった」

IntelのPC用マザーボードに関する戦略と、同じである。


また、関連記事によれば、

「2013年1月時点で、40社以上のメーカーが QRD を利用した170種類のスマホを売り出している」

状況となっている。

・「アップル苦しめるクアルコム”格安スマホレシピ”」日経オンライン 2013/5/2
http://s.nikkei.com/1gyebSY

記事には

「スマホの価格下落が速すぎて」

とあり、彼らの戦略が「予想以上」のスピードで、最先端の携帯電話を世界の隅々まで普及させる
原動力になっていることが、伺える。

・「”100ドル”スマホ、アジアで激戦 」日経オンライン 2014/4/10
http://s.nikkei.com/1uXUzB0


もともとQualcommは、新興国/新参入メーカーに技術提供することで、エンドユーザーが低価格で
購入できる端末を増やし、技術の普及を促進する、という戦略で3G携帯電話を普及させてきている。

・知財戦略とは~発明研究所のすすめ第2回_PEN_2011_September_vol.2_no.6
http://bit.ly/1iML2YA


上記論文の図3には、3G携帯電話の価格が急速に下落していること、そして、図4には、それに
従って産業自体の規模が拡大し技術が普及していること、図5で、その原動力が、Qualcommの技術を
利用した携帯電話メーカーの新規参入であることが、示されている。


これらの事実から、現在のQualcommは、単に「知財で技術を独占し収益を得る」という古典的な
発想で考えているのではなく、「技術の普及を促進」させて競争に勝つ、そのために知財をどう
扱うべきか、と考えていることがわかる。

デバイスの低価格化は、アプリケーションやサービス開発の余地を誘発し、新たなビジネスエコ
システムを作り出す。独占や寡占により高価格を維持するのではなく、エンドユーザーでの価格を
下げて普及させ、さらにエコシステムの発展を促し、好循環を作り出していく「巧みな」戦略である。


まさに「特許制度を利用して、技術を普及させて世の中を進歩させ、それが継続できる収益を上げ」
ている「イネーブラー」企業、それがQualcommである。知識資本主義時代の新しいモデル、と言えば、
言い過ぎだろうか。


最後に、これまでの議論から「イネーブラー」について整理しておこう。同じようなポジションを
目指される企業の知財部の方、企画部門の方、事業責任者の方、および経営者の方は、ぜひ参考に
していただきたい。



1.「イネーブラー」とは?

これまでの議論をまとめると、「イネーブラー」とは、

「技術の早期普及で社会全体に利益(ベネフィット)をもたらし、業界を発展させながら自らも
収益(プロフィット)を上げ、次のチャンスを作り出す企業」

と定義できる。

「技術を単純に独占して収益を上げるのではなく、”普及”のキーマンになることで、社会に
利益を広く提供しながら、収益を上げている」

のが、これまでの「特許による独占」で収益を上げる企業との、違いといえるだろう。

「知財を活用し、社会が進化する時間を早め、それに見合った収益を得る企業」

が、まさにその名の通り「イネーブラー」(enabler)である。

20年、という特許権の有効期限とも相性が良く、技術の代替わりを仕掛けることで、新たな
技術で社会を進化させ、同時に収益を得ている。



2.「イネーブラー」の知財戦略

クアルコムの事例と特許権の特性から、イネーブラーの知財戦略は、以下2つが特徴と
わかった。

1)知財を利用して、他者の資本を活用し「規模とスピードのトレードオフ」を解消する

自社の経営資源にこだわらず、市場の成長拡大のために、他者の経営資源を最大限使う、
そのためには「知財権が必要」という発想である。これは、ライセンスの本来の意味/目的
であり、きわめて正統的なアプローチと言える。
併せてライセンスを通じて、自社以外のレイヤーを徹底的に競合状態に置き、無力化する
ことで普及を促進している点が、「単なるライセンスビジネス」とは異なる。


2)自社の付加価値領域を絞り込み、「さまざまな手法を駆使」して守る

当然のことであるが、そのためには「訴訟も辞さない」ハードな交渉をこなす必要がある。
そして、自社領域に攻め込まれないように「他者の体力を奪う」ための無力化戦略と、
その収益を次の事業機会に思い切って投資する「ハイリスク・ハイリターン」の経営戦略が
必要となる。

これらはいずれも「特許権が排他権である」というシンプルな取り決めから必然的に導き
出される戦略であり、全ての事業に応用可能である。



Qualcommの事例分析を通じて、私が「技術屋」として感じたことを、改めてメッセージとして
まとめ、締めくくりとしたい。

「技術者から見れば、特許は、技術を”企業””経営”というツールに乗せて普及させるための、
便利な仕組み」

「技術者が、技術を正しく世の中に広めるために、知財戦略の理解と、特許に関する基礎知識/
高いスキルが必要」

「特許で技術を独占する時代は終わり、知財戦略を駆使した”イネーブラー”が、技術を素早く
普及させ、世の中を前向きに変革する時代」


知財の戦略的活用が、技術の実用化・普及のために、ますます重要になることを申し添えて、
一連の事例分析を終了としたい。

次回は、「国際標準化と事業戦略」(小川)に戻り、さらに読み進めていく。



※注1)本稿は、弊社が主催する「国際標準化と事業戦略研究会」の研究成果に基づくものです。
無断転載、引用を禁止します。研究会では、本書には取り上げられていない様々な業界の、知財戦略/
標準化戦略を駆使した事業戦略はどうあるべきか、今後も事例研究を進め、学会等で発表する予定です。
お楽しみに。

※注2)Qualcommの事例については、立命館大学/同大学院の講義で毎年取り上げている、

・NHKスペシャル「世紀を超えて」 世界 ビッグパワーの攻防 第2集 特許で世界を制覇せよ
解説記事の例:http://bit.ly/PumN5V

に詳しい。また、立命館大学/同大学院での講義内容に興味をお持ちの方は、以下ご参照ください。

・立命館大学MOT大学院 第5回講義を終えて~クアルコムが携帯電話業界の覇者になるまで
http://bit.ly/1fQnr4n

・立命館大学MOT大学院特別講義「クアルコムは、いかに携帯電話市場を制覇したか」開催報告
http://bit.ly/OgAOmF




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「勝つ意欲はたいして重要ではない。そんなものは、誰でも持ちあわせている。重要なのは、
勝つために準備する意欲である」ボビー・ナイト

いつの時代も、何についても、「勝つために必要な準備」「練習」をするだけの十分な意思を
持つ人は少ない。

だから、それを持つ人が「勝つ」のでしょう。


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